コラム

 公開日: 2011-01-09 

相続 94 相続分の譲渡


1 相続分の譲渡の意味
相続は、被相続人が有していた権利・義務を、相続人が包括的に承継することです。(これはコラム「相続 1」で説明しました。)
相続分とは、その“割合的な一部”のことです。
権利・義務の割合的一部という観念は、他にも、株式会社における“株式”等があります。
ですから、相続分の譲渡というのは、このような相続人の地位を譲渡することになるのです。

2 相続分の譲渡は、法的に可能なのか?
民法905条は「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。」と定めていますので、相続分の譲渡は可能です。

3 遺産分割後にも、相続分の譲渡は可能か?
いいえ。遺産分割をしてしまいますと、相続分は消滅します。
遺産分割により、各相続人は、それまで有していた相続分が、個々の相続財産上の権利に形が変わりますので、もはや相続分なるものはなくなるのです。
ですから、遺産分割後は、相続分の譲渡はできません。
民法905条も「遺産の分割前に・・・」と定めているのは、その意味です。

4 相続分の譲渡には、方式が要求されるのか?
いいえ。相続分の譲渡は、譲渡人である相続人と譲受人である相続人又は第三者が、売買契約や贈与契約などの契約を結んでしますが、方式は要求されません。
口頭の契約だけでも成立します。ただ、口頭による契約というのは、その契約の成立や内容が争いになったときに証明できないという難点がありますので、通常は書面でなされます。

5 相続分の譲渡を第三者に知らせる登記などの制度はあるのか?
ありません。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
住民監査請求があった場合の、監査委員の心構え

Q 私は、某自治体の監査委員をしている者ですが、住民監査請求書を,受理すべきか,不受理とすべきか,補正を求...

[ 地方行政 ]

建築請負契約における瑕疵認定の基準を定めた裁判例

仙台地裁平成23年1月13日判決は、 請負契約における「瑕疵」とは,“ 完成された仕事が契約で定めら...

[ 建築 ]

道路上の障害物により自転車事故等が生じた場合の責任割合(裁判例紹介)

道路上を自転車等に搭乗して、走行中、道路上の障害物や、道路から駐車場に入るときの障害物に衝突して転倒し人身...

[ 交通事故 ]

「等」と書くか、「など」と書くか?

「等」は、「常用漢字表」では「トウ」という字音と、「ひとしい」という字訓しかなく、「など」や「ら」という字...

[ 法令用語 ]

遺言の権利と相続権 2 現在の欧米及び我が国の遺言制度

1 欧米 遺言の権利を認めていた古代ローマ時代、個々の法律は他の法律との整合性を考えず制定されることが多...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ