コラム

 公開日: 2016-04-05  最終更新日: 2016-04-06

子のいない夫婦からの相続相談

相談内容
 夫婦の間に子がいないので,全遺産を妻に相続させたい。その方法は?
特に私の場合,弟と姪(妹の子)が,私の死後,妻に対し,遺産を要求してきそうなので,それができないように処置したい。その方法は?

第2 回答

STEP1
 最初に,次のような遺言書を作成することです。

遺言書
 私は,全財産を妻凸山一子に相続させる。
平成28年4月5日
凸山太郎 ㊞


これは自筆証書遺言です。①全文自筆で書き,➁日付けも自筆で書き,③署名をし,④印鑑を押せば,成立します。
 公正証書で作成することもできます。この場合は2名の証人が必要になります。
 自筆証書は紛失の危険がありますが,公正証書の場合は,公証人役場で原本が保存されますので,紛失のリスクはありません。また,相続人なら誰でも,どこの公証人役場からでも調査が可能ですので,公正証書で作成することをお薦めします。
 
STEP2
 次にあなたが亡くなった後,奥様から家庭裁判所に,遺言書の検認を求める申立てをしてもらい,家庭裁判所から遺言書の検認してもらいます。
遺言書が公正証書で作成されている場合は,この検認手続は不要です。

STEP3
 その検認済みの遺言書又は公正証書による遺言書で,不動産や預貯金の名義をあなたから奥様に移転する手続をとります。
上記のような,相続人に「相続させる」と書いた遺言書の場合は,相続人自らが単独で,不動産や預貯金の名義を,遺言者(被相続人)から,当該相続人(これを「受遺相続人」といいます。)に移転することができますので,遺言執行者は必要ではありません。

第3 遺言書を書く必要
1 推定相続人(相続が開始した時に相続人になる立場の人)
 あなたが亡くなった時に相続人になる人のことを「推定相続人」と言いますが,あなたの場合, 凸山一子(妻),凸山 登(弟),凹川鮎子(妹鮒子の子・代襲相続人姪)
の3名が推定相続人になります。

2 法定相続分(凸山太郎が遺言書を書かないで死亡した場合)
 もし遺言書を書かない場合は,あなたの遺産は,次のような割合で3名の相続人に相続されます。そして,遺産を分けるためには,遺産分割(協議,調停,審判の順に)をする必要があります。これには,時間と費用と労力がかかります。その上,相続税の納期(相続開始後10か月目)までに遺産分割ができていない場合は,相続税の配偶者控除が認められないことになります。

   凸山一子 3/4
   凸山 登 1/8
   凹川鮎子 1/8

3 遺言書の効果
 前述の遺言書を書いておくと,遺産は全部奥様が相続しますので,弟さんや姪御さんには遺産は移転することはありません。遺産分割の必要はなく,相続税の申告も一人でできますので,納期も守れ,配偶者控除を受けることが可能です。

4 遺留分権利者
 兄弟姉妹(代襲相続人となる甥・姪を含む。)には遺留分がありません(民法1028条)ので,あなたの死後,弟さんや姪御さんから奥様に遺留分減殺請求の請求を受けることはありません。あなたの遺産は全部,奥様に移転し,だれも妨害できません。

5 遺言書の効果は抜群
上記のような遺言書を作成するだけで,なんら手間暇かけることなく,あなたの遺産はすべて,奥様に移転し,事後的にも,誰も何の請求もできません。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
離婚原因の一つである「夫婦関係の破綻」が,別居期間が短くとも認められる場合

これは,私の事務所が勝ち得た離婚判決の例です。一審判決は,別居期間が2年程度(一審判決までの期間)では,...

[ 離婚 ]

課税価格と相続税評価額とは違う

1 遺産の評価問題遺産分割の調停の席で,遺産(相続財産)の評価をどうするかという問題が提起されることがあ...

[ 相続相談 ]

遺留分減殺請求事件と相続税の処理

1 遺留分減殺請求をして,相続財産の一部の返還又は価額弁償金の支払を受けた遺留分権利者甲の場合これによっ...

[ 相続相談 ]

情報公開条例の誤解⑤ コピー代は全額請求するべし

Q 当市の公開条例には,公文書の開示の方法として写し(コピー)を交付する方法を採っており,コピー代として1...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解④ 権利がないことと,権利の乱用は違うこと

Q 住民からの公文書の開示請求に応じた後の,公文書の内容に対する質問に対しては,回答する義務のないことは分...

[ 地方行政 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ