コラム

2011-01-02

相続 87 長男にA宅地を相続させると遺言を書いたが、相続開始前に長男が死亡した場合の効力


1 問題
父が、長男甲にA宅地を相続させる、との遺言を書いた後で、甲が死亡し、その後で被相続人である父が死亡したとき、A宅地は当然に甲の子乙(代襲相続人)が相続することになるのか?

2 代襲相続人は相続しないとの見解(消極説)
遺言者は、そのような事態が生ずることを予想して、その場合は乙に代襲相続人としてA宅地を相続させる旨の遺言を書くことが出来るのだから、それをしないで死亡した場合は、その遺言は無効になる、との見解があります。
最高裁の判例はまだなく、学説ではこの見解が多いと言えます。

⑵ 代襲相続人が相続するとの見解(積極説)
東京高裁平成18.6.29判決は、
① 相続人(仮に「甲」)に対し、特定の財産(仮に「A宅地」)を相続させる遺産分割方法の指定がされると、甲は、相続の内容としてA宅地を取得することができる地位を取得することになる。
② その結果、甲は被相続人の死亡とともにA宅地を取得することになる。
③ 甲が、被相続人の死亡より早く死亡した時は、その子(仮に「乙」)が代襲相続によりその地位を相続する。
との理由です。

最高裁の判決(判例)が待たれるところですが、実務的には、消極説の見解に立ち、遺言で明確にしておくべきでしょう。

遺言文例
私は、A宅地を長男の甲に相続させる。
この遺言の効力が生ずる前に甲が死亡したときは、A宅地は甲の長男乙に相続させる。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
金融機関は遺言書とどう向き合うべきか?① 金融機関が考えるべきこと

 預金者が亡くなり,その預金を相続し,又は遺贈を受けたという者が,遺言書を持って,金融機関の窓口に現れた場...

[ 相続相談 ]

モデルルームでの不動産売買契約とクーリングオフ

Q 当社は,某宅建業者がマンションを建築販売する話を聞き,モデルルームを見学に行き,その場で投資用にマンシ...

[ 不動産 ]

開発許可にかかる工事を完成し検査済証を交付された後でも,開発行為取消訴訟は起こしうる(判例)

Q 市街化調整区域で開発許可の要件を欠いた業者が,開発許可を受け開発行為に関する工事を完了し検査済証を交付...

[ 不動産 ]

抗告状に貼付すべき印紙を貼付しなかった場合の瑕疵とその治癒に関する判例紹介

1 問題点①Aが訴訟救助の申立てをした。➁Aの申立ては却下された。③Aは却下決定に対する抗告をしたが,...

[ 民法雑学 ]

反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果(判例まとめ)

反社会的勢力を主債務者とする保証契約の効果について判示した,4件の最高裁判所第三小法廷平成28年1月12日...

[ 民法雑学 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ