コラム

 公開日: 2016-02-02  最終更新日: 2016-02-22

相続相談 相続人からの,貸金庫の内容物の確認方法


 1人の相続人が,被相続人名義の貸金庫内の内容物を,持ち出すか,内容物を確認することはできるか?(遺言書がない場合)

A 
1 貸金庫の利用者の権利は,相続人共有の,内容物全体を一括して引き渡すことを請求する権利であるので,相続人1人が単独で内容物の持ち出しはできない
 最高裁判所第二小法廷平成11年11月29日判決の内容は,昨日のコラムで解説しましたが,その判例を待つまでもなく,利用者の銀行に対する内容物の引渡請求権は,全相続人の共有財産ですから,相続人の1人が単独で,内容物の持ち出しはできません。

2 内容物の確認は?
 公証人には五感の作用により直接見聞した事実を記載した「事実実験公正証書」を作成することができる=公証人法35条)ので,1人の相続人が,公証人の立会の下で,貸金庫の内容物の確認をしても,共有物の保存行為として許されるという考えもありますが,裁判例はない模様です。
なお,関西金融判例・実務研究会「貸金庫取引をめぐる諸問題」では,都市銀行の事務統括部は,銀行員及び公証人の立会の下で相続人1人の貸金庫開披及び確認には,前向きの記事を書いています。

3 コラム掲載後の銀行の扱い
 本コラムを書いた後の,平成28年2月17日付で,株式会社中国銀行は,貸金庫の内容物を持ち出さないことと,公証人の「事実実験公正証書」の作成を条件として,相続人の一人からの,貸金庫の開披を,保存行為として,認める見解を表明しました。
他の相続人の権利を害するおそれのない場面での,透明性のある,相続人の利益に適う処置であり,英断であり見識と言うべきです。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
宅地建物取引業者の税金についての説明義務

 宅地の売買などをしますと,不動産譲渡所得課税問題が生じますが,その売買契約を仲介した宅地建物取引業者に,...

[ 不動産 ]

遺産分割に関する最高裁判決まとめ

・預貯金債権は,可分債権ではないので,遺産分割対象の財産になる(平成28年12月19日最高裁判所大法廷決...

[ 相続判例法理 ]

遺産から生ずる果実は,全相続人のもの

最高裁判所第一小法廷平成17年9月8日判決遺産は,相続人が数人あるときは,相続開始から遺産分割までの間,...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理 「遺産分割による代償譲渡」は有効

法務局で登記手続をする場合,先例がないときは,容易に認めてもらえません。下記の事案も,そうで,家庭裁判所で...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理⑦ 財産全部についての遺産の分割の方法を定めた遺言は債務に及ぶ 

 民法899条は,「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」と規定していますが,ここ...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ