コラム

 公開日: 2015-12-24 

労働 うつ病が公務に起因するものであることの立証責任

Q 私はA市の人事担当の職員ですが,A市の職員で,うつ病に罹患し,長い間,職場に復帰できない職員がいますので,地方公務員法28条1項2号の「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」に該当すると考え,条例に基づき,免職処分にしたいと考えていますが,対象の職員から,現在の心身の故障は公務に起因するものだから免職処分にはできない,当該職員のうつ病が公務によらないというのならその立証責任はA市にあると言われました。
そうなのですか?

A 
1 分限処分の根拠規定
 地方公務員法28条1項は,降任、免職、休職等の,いわゆる分限処分をなしうる場合の一つとして,2号に「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」を挙げています。ですから,その理由による免職は可能です(ただし,その手続等については条例の定めがあることが要件になります。地方公務員法28条3項)。

  参照
  地方公務員法28条 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
   一 勤務実績が良くない場合
   二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
   三 前二号に規定する場合の外、その職に必要な適格性を欠く場合
   四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
  2 略
  3 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。

2 公務上の疾病の場合は解雇制限がある
 ところで,労働基準法19条1項は,労働者が業務上負傷し,又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇してはならない旨を規定しているのですが,地方公務員法58条3項は職員に対するこの規定の適用を除外していないので,この規定は地方公務員法上の職員についても適用があります。したがって,職員の疾病が公務上のものと認められるときは,療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇してはならないという制約を受けます。

3 公務上の疾病に出張立証責任
 職員のうつ病が公務上のものであるという出張立証責任は,当該職員にあります(東京地方裁判所平成27年 2月18日分限免職処分取消等請求事件判決)。
 ですから,当該職員に職員の精神疾患(神経症性抑うつ)に公務起因性が認められることに関する具体的事情につき,十分な主張立証の機会を与えてあげ,その立証ができていないと考える場合は,免職ができます。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
共同保証人間の求償権の趣旨・消滅時効中断事由に関する初判例

最高裁判所平成27年11月19日判決の紹介時系列的事実関係⑴ 信用保証協会Aと主債務者会社の代表取締役Bが、銀...

[ 民法雑学 ]

労働 時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意の有効性について(後半)

 最高裁判所第二小法廷平成29年7月7日判決は、①医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対す...

[ 労働 ]

労働 時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意の有効性について(前半)

 最高裁判所第二小法廷平成29年7月7日判決は、医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する...

[ 労働 ]

信用保証協会、二度目の最高裁判決

またまた、信用保証協会に不利な最高裁判決が出されました。2016-09-14付けコラムで紹介しました最高裁判所第三小...

[ 会社関係法 ]

立法論としての相続法⑬ 法制審議会で、民法1015条の字句を改めるべしとの意見出る

 現行の民法1015条は、「遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。」と規定しています。この字句から、遺言執行...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ