コラム

 公開日: 2015-12-14 

(補説) 固定資産税,さらに突っ込んだ質問

5 競売で不動産を失った場合,買受人に対し,固定資産税の精算を請求できるの?
Q 固定資産税が財産税の性質を有するのであれば、競売によって不動産を喪失した者が、喪失した日の翌日以降も固定資産税を負担するのは法律上原因のない負担になり,一方,競売による買受人が買受日の翌日以降翌年4月前まで固定資産税を納める義務がないとなると,それは法律上の原因のない利得とは言えないのか?
つまり、競売によって不動産を失った者から、競売による買受人に対し、買受人が不動産を取得した日の翌日以降固定資産税の日割り精算額を法律上の原因無くして利得したとして、不当利得返還請求ができないか?
A この問題について、東京高裁昭和41.7.28判決は、積極説に立ち、不当利得返還請求を認めましたが、大阪地方裁判所平成23.2.7判決は、消極説に立ち、不当利得にはならないと判示しました。

その間にあって折衷説ともいうべき、東京高裁平成13.7.31判決は、「不動産競売手続により不動産を取得した者が、その不動産について、取得日が4月1日から翌年1月1日までの間である場合にあっては、当該年度に係る固定資産税等相当額、取得日が1月2日から3月31日までの間である場合にあっては、当該年度及び翌年度に係る固定資産税等相当額を負担しないとしても、その不動産競売手続において上記固定資産税等相当額を買受人に負担させることを前提として不動産の評価がされ、最低売却価額が決定されたなどの特段の事情のない限り、上記固定資産税等相当額を不当に利得したということはできないというべきである。最高裁昭和47.2.25判決は、この観点から見た場合、事案を異にすることが明らかであるということができる。」と判示しています。この説は、「不動産競売手続において固定資産税等相当額を買受人に負担させることを前提として不動産の評価がされ」ている場合に限り、不当利得返還請求ができるという見解ですが、現実の不動産競売では、そのような不動産評価はされていませんので、結局のところ、消極説と変わらない結論になります。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺産分割判例法理 「遺産分割による代償譲渡」は有効

法務局で登記手続をする場合,先例がないときは,容易に認めてもらえません。下記の事案も,そうで,家庭裁判所で...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理⑦ 財産全部についての遺産の分割の方法を定めた遺言は債務に及ぶ 

 民法899条は,「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」と規定していますが,ここ...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理⑥ 遺産分割の方法を定めた遺言の効力は代襲相続人に及ばない

遺言書の効果は,遺言書に書かれた文言に限られます。長男に全財産を「相続させる」と遺言書を書いた場合で,そ...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理⑤ 相続放棄は詐害行為にならない

 しかしながら,相続放棄は,詐害行為になりません。下記の判例があるからです。 ですから,遺産分割協議で...

[ 相続判例法理 ]

遺産分割判例法理④ 遺産分割協議は詐害行為になりうる 

 債務が多くあり,遺産を相続しても債権者に差し押さえられると考え,遺産分割においては取得できる具体的相続分...

[ 相続判例法理 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ