コラム

 公開日: 2015-12-01 

(応用問題)建築条件付き売買契約の解除のできる時期

Q 私は,A社との間に,①売買契約の履行後,3か月以内に,A社と建物建築請負契約を結ぶこと,➁もし,建物建築請負契約が結ばれなかった場合は,私もA社も,土地売買契約を解除することができる,という,2つの条件の付いた土地売買契約を結び,売買代金を全額支払ったので,A社から土地につき所有権移転登記をしてもらいました。
しかしながら,私は,A社と建物建築請負契約をする段階になって,A社の建物では満足できず,A社を止めにして,B社と建物建築請負契約を結びました。
すると,A社から,土地売買契約を解除するといってきましたが,売買契約を決済する前ならば,手付金を返してもらって売買契約を解除されることは理解できますが,売買代金を支払い,土地の所有権移転登記までしているのに,売買契約を解除することはできるものでしょうか?

A 
 A社の言い分は,売買契約書に書かれたとおりのことを言うものであって,土地売買契約の解除が無効になる理由はないと思います。
 不動産の表示に関する公正競争規約第6条1号ウ(平成15年1月14日公正取引委員会告示第2号)に定める内容,すなわち,「建築条件が成就しない場合においては、土地売買契約は、解除され、かつ、土地購入者から受領した金銭は、名目のいかんにかかわらず、すべて遅滞なく返還する旨」の契約内容については,名古屋高等裁判所平成15年2月5日判決もいうように,「独占禁止法に抵触しないために顧客を保護する重要な意義を有する」内容ですから,無効にすべき理由はないと思えます。
 なお,あなたのケースでは,売買代金を支払い,土地の所有権移転登記を受けた後の解除のようですが,売買契約書には,土地売買契約の履行後は解除できないと定めているわけではなく,むしろ売買の決済後3か月以内に,建物建築請負契約が締結されないときに,土地売買契約を解除できると書いてあるのですから,解除は可能であると考えられます。
 あなたは,売買契約を決済する前に,よくA社と打合せ,A社に建築を請け負わせるかどうかを決めることができたのですから,それをしないで,売買契約の決済をしたことを,A社に不利になる,A社からの解除はできないという理由とするのは,理解されないのではないでしょうか?

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
遺産分割の場合の注意 「課税価格」イコール「相続税評価額」ではないこと

1 遺産の評価問題遺産分割の調停の席で,遺産(相続財産)の評価をどうするかという問題が提起されることがあ...

[ 相続相談 ]

遺留分減殺請求事件と相続税の処理

1 遺留分減殺請求をして,相続財産の一部の返還又は価額弁償金の支払を受けた遺留分権利者甲の場合これによっ...

[ 相続相談 ]

情報公開条例の誤解⑤ コピー代は全額請求するべし

Q 当市の公開条例には,公文書の開示の方法として写し(コピー)を交付する方法を採っており,コピー代として1...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解④ 権利がないことと,権利の乱用は違うこと

Q 住民からの公文書の開示請求に応じた後の,公文書の内容に対する質問に対しては,回答する義務のないことは分...

[ 地方行政 ]

情報公開条例の誤解③ 助言義務は説明義務に非ず

Q 当市の公開条例には,第3条 何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,当該実施機関の保有す...

[ 地方行政 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ