コラム

 公開日: 2015-11-26 

自治体がする軽微な示談と,議会の議決の要否

自治体が加入している保険会社から支払われる保険金で賄われる損害賠償額でも,示談を結んで支払う限りは,議会の議決事項になるのか?

Q 当市の職員が軽微な物損事故を起こしましたが,保険会社が,被害者と示談を結ぶと賠償金は全額保険会社が支払うといってくれていますので,示談を結ぼうと思います。
その場合,議会の議決が要るのですか?
A 
「示談」は,地方自治法96条12号の「和解」に含まれます。「新版逐条地方自治法第4次改訂版」松本英昭著 339頁によれば,「和解」とは,民法695条の規定による民事上の和解,民事訴訟法89条の訴訟上の和解及び同法275条の訴訟提起前の和解,これら全てを含むと解されているのです。
ですから,職員による職務中の自動車事故の損害賠償に関する示談は法96条12号に規定する,地方公共団体を当事者とする和解に該当することになりますし,示談で損害賠償額を定めることは,「法律上その義務に属する損害賠償額を定めること」(法96条1項13号)に該当します。
そのため,職員による職務中の自動車事故の損害賠償に関する示談は,例え軽微なものであっても,議会の議決事項となります。
ただし,地方自治法180条の議会の委任による専決事項の規定によって,軽微な物損事故で,その賠償金が保険会社から支払われ,実質的に自治体の債務ともいえないような支払については,市町村長の専決事項とする措置をとっている場合は,それによることができます。
この場合は,議会へは,事後報告ですませることができます(参照:地方財務実務提要213頁)

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
大切にしたいもの 一能

吉川英治が描く、「私本太平記」の中に、楠正成が、一人の仮面師(めんし=鑿(のみ)を使って人の顔をつくる者) ...

[ 大切にしたいもの ]

特別の利害関係のある取締役が、取締役会決議に関わった場合の取締役会決議の効果

問題会社法369条は「取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定め...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

就業規則の一括届出制度について

1 就業規則の届出義務は、事業場ごとに。労働基準法89条は、「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に...

[ 労働 ]

我がコラムへのご訪問、ありがとうございます

昨日の私のコラムへの訪問者数は3400名、閲覧コラム総数は6586通でした。訪問者数では、過去最高を越え...

[ その他 ]

ホールディングスのつくり方

 「のう。後藤!以前、ホールディングスが増えた理由を尋ねたが、そのホールディングスの作り方を教えてくれ。」...

[ 菊池と後藤の法律実務レポート(企業編) ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ