コラム

 公開日: 2015-11-09 

20 売主の不法行為責任期間が20年になることの意味

 建物を壊し,廃材をその土中に埋め,その上に真砂土をかぶせて整地をすれは,一見美しく整った宅地です。
その宅地は,いうまでもなく,土中に廃材があるという「隠れた瑕疵」のある宅地になりますが,その所有者が,その瑕疵ある宅地を買主に売ったとしますと,買主には売主に対し,①瑕疵担保責任,➁債務不履行責任及び③不法行為責任を問いうること,はいうまでもありません。
 ところで,その宅地を,買主が,すぐには利用しなかったことにより,瑕疵の存在に気がつかず,いたずらに時間のみ経過したとしますと,
①の瑕疵担保請求権を行使しうる期間は,買主が瑕疵ある事実を知った時から1年(民法570条,566条)しかなく,買主がいつまでも瑕疵の存在を知らないでいたとしても,通常の債権の消滅時効期間が経過すると,瑕疵担保請求権は時効で消滅します(最高裁平成13年11月27日判決)ので,私人間の売買契約の場合で10年(平成28年改正予定の新民法施行後は5年),宅建業者から購入した場合で5年が経過すると,瑕疵担保責任の追及はできなくなります。
➁の債務不履行責任も,同じです。
ところが,③の不法行為責任は,知った時から3年,知らなかった場合は20年,追求することができるのです(民法724条)。
宅地を買って20年近く経って,家を建てることにして土を掘ったところ,廃材のあるのに気がついたという場合があれば,売主に不法行為の要件が整っている限り,不法行為責任が追及できるのです。
不法行為の要件とは,売主に「故意又は過失」があるときです。
故意とは,売主が瑕疵あることを知っていたであり,過失とは,知らなかったとしても知ることができたことをいいます。

瑕疵の存在を知ったのが,宅地を購入した後20年より後という場合,不法行為責任の追及はできません。
また,この期間が経過しておれば,瑕疵担保責任も,債務不履行責任も追及することはできません。
 時効とは,時の経過の効果のことですが,言い得て妙というべきでしょう。

この記事を書いたプロ

弁護士法人菊池綜合法律事務所 [ホームページ]

弁護士 菊池捷男

岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL:086-231-3535

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
菊池綜合法律事務所|菊池捷男弁護士は数多くの民事裁判を手がけてきたエキスパート

法律事務所は決して敷居の高い場所ではありません。(1/3)

 事務所設立以来40年、「うそをつかない、ごまかさない」を信念に、離婚や相続など数多くの民事裁判を手がけてきた菊池捷男さん。現在事務所には菊池さんを筆頭に6人の弁護士が在籍し、民事から企業法務まであらゆる法律問題をサポートしています。 ...

菊池捷男プロに相談してみよう!

山陽新聞社 マイベストプロ

あらゆる法律問題に対処可能

事務所名 : 弁護士法人菊池綜合法律事務所
住所 : 岡山県岡山市北区南方1-8-14 [地図]
TEL : 086-231-3535

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

086-231-3535

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
店舗外観を不正競争保護の対象にした初裁判

東京地方裁判所平成28年12月19日決定(仮処分決定)は、甲社が直接又はフランチャイズ契約により加盟店に営...

[ 会社関係法 ]

これからの契約実務⑤ 動機を書いて置けば、動機の錯誤で契約の取消し可能

 契約書に「契約の内容」としての「目的」を書いておけば、その目的が達成できないことが分かった時は、契約を「...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務④ 金銭消費貸借契約では,諾成的契約が可能になる

現行法の下では、金銭消費貸借契約は、要物契約、つまりは、現金を交付することで成立する契約になっていますが、...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務③ 自殺の履歴が契約解除の理由になる

現行法にあっては、契約を解除するには、債務者の帰責性(故意又は過失)が必要です(民法543条ただし書)。しか...

[ 債権法改正と契約実務 ]

これからの契約実務② 「契約の内容」の書き方

目的や動機、契約に至る経緯を書くことの重要性これは、以前(2014-01-06)、コラムに書いたことですが、 最高...

[ 債権法改正と契約実務 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ