コラム

 公開日: 2017-02-18 

縁・縁側

「縁」という言葉には大きく二つの意味があるようです。
「地縁」、「血縁」、「縁を結ぶ」、など人のつながりを意味する場合と、もう一つは、物事の周辺部や端部を示す意味合いです。

建築用語では縁・縁側は建物の外周辺にある細長い空間を示し、後者の意味で使われています。

中世(鎌倉~室町)の建築で現存する禅院方丈などの主屋外周の庇屋根下・板張り空間も「縁」とされており、時代と共に内部化され、現在の「縁側」と称される空間に変化してきたのであろうと推察されます。

この「縁」なる存在、発生の初期段階から重要な役割を果たすものでした。
外部の風雨から保護し、日差しを制御しながら母屋の内部空間を外部の庭空間と結びつけ、主空間を単に屋内の部屋としてではなく、制御された自然「庭」との一体感のある、日本独特の空間形式を成立させて来ました。
(外壁を防御のために厚くし、開口部を最小限に絞るといった諸外国の建築との大きな差異はこの部分にあり、その表情の違いを特徴づけています。
また、日本建築の防御は主に外塀が担っていました。)

            龍安寺方丈広縁から石庭

このように考えて参りますと、「縁」は周辺部や端部と考えるよりもむしろ「内」と「外」を調整し「つなぐ」要素であるとも考えられます。

言葉の意味については専門外ですが、建築で使われる「縁」も人のつながりを意味する「縁」も根源的には同じ意味のようにも思えて参ります。

戦後の合理主値的価値観での建築(モダニズム)の時代、明確な用途(機能)をもたない「縁」や「縁側」は無駄な要素と考えられた結果、昨今では縁側のある家はほとんど見当たらない状況です。
(和室自体が造られなくなったことも大きな要因ですが・・・)

近世、近代においても日本の伝統的住宅は、「内」と「外(庭)」を1:1の対等な関係であり、互いの補完する、片方だけでは充足しない空間構成と考えらてれてきました。

一方、昨今の住宅・敷地状況の中で、そのような内部と庭の関係を当てはめることはとても考えられる状況でありません。
だからといって、内部は内部、外は外と割り切るのではなく、ごくささやかなしつらえであっても、外部の自然の息吹を感じ、内部にあっても自然と共にあることを実感できるものとしたいものですよね。

そこには、自然と切り離され十分に快適な温湿度にコントロールされた人工的な環境だけでは満たせない、生活に潤いや豊かさをもたらす何かがあるように思われるのですがいかがでしょうか・・・

            御津の家 居間からガラス庇のテラス、庭


            灘崎の家 2階食堂からテラス

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