コラム

 公開日: 2014-12-30 

「安全」は本当に安全? 子どものからだの働きと姿勢に及ぼす影響

「安全」という文字を目にしたり、耳で聞いたりする時、その物や状況について
どのように思いますか。

「安全」を国語辞典で調べてみると、
「危なくないこと」
「傷ついたり壊れたりしないこと」
「危険がないこと、被害(有形・無形を問わず)を受ける可能性がないこと」
「身体的に危険が無いと信頼している状態で 心も落ち着いていること」など。

これらから物や状況は、危険なことが全くなく、安心して使うことができる、
行動することができると想像できます。
本当にリスクは全くないのでしょうか。


姿勢は今までのからだの使い方を表しています。
生まれてから今までにどのように動いてきたかが、現在の姿勢やからだの使い方です。
「安全」な環境に囲まれた生活を続けることが、からだにどのような影響があるのでしょうか。


ここでひとつ考えてみましょう。
「バリアフリー」の住宅。
家を建てるということは人生において大きな買い物です。
数十年後の生活も視野に入れてあれこれと考えます。
トイレや浴室に手すりをつけたり、部屋と廊下の段差を無くしたり。

高齢者は部屋の中での転倒が多く、畳の縁につまづくこともあるので、
和室でも縁のない畳で少しの段差も作らないようにしたり。

「転ばぬ先の杖」という諺がありますが、バリアフリーの中で生活することが
杖の役割をしているのでしょうか。

段差につまづいて転ぶのだから、その段差を無くせば転ばない。
だからバリアフリーは杖の役割をしている。
果たしてそうでしょうか。


こんな話があります。
Aさん、60歳代の女性の家に、友人のBさん、同じく60歳代の女性が
訪れました。
帰りにBさんは、「こんな家、もう遊びに来ない!」と言ったそうです。

お互いがケンカをしたわけではありません。
数十年来の友人で、長いお付き合いをされているのですから、
気心も知れているはず。
では、なぜでしょうか。

Aさんのお宅は昭和に建てられた家で、玄関では靴を脱いで廊下に上がるには、
数十センチメートルの段差があります
Bさんは、まずここで足が上がらなかったようです。

その後、廊下を歩いて部屋に入る際には、数センチの敷居がありますが、
ここではつま先をぶつけてしまったようです。
途中でお手洗いに行っても、また部屋に戻っても、家の中を移動するたびに
あちこちで足をぶつけて、転びそうになったらしいのです。

この家に住んでいるAさんが毎日そんな状態で生活しているはずはありません。
玄関では数十センチメートルの段差も毎日のことなので、つまづくことなく
上り下りしています。
もちろん敷居や畳の縁でつまづくこともありません。

では、なぜBさんはあちこちでつまづいたり転倒しそうになったのでしょうか。
もうお分かりですね。

Bさんの家はバリアフリーだからです。
玄関での段差は数センチ、家の中はすり足でもつま先がぶつかることがない、
ほとんど段差のない家での生活。
長く住むほどにからだが慣れてしまいます。


「段差がない」とつまづくことが無くなるので転びにくいと考えますが、
それに慣れてしまうと段差がある状況にからだは対応できません。

段差があるからその段差に対応できるからだの状態を維持しています。
段差に対するからだの感覚、例えば足の裏の感覚や、関節の位置関係、
股関節・足関節の可動範囲など、足を上げたりまたぐために自然に使うことで
つまづかないためのからだの機能を維持しているのです。

足の上げ下げや敷居をまたぐ必要のない、バリアフリーの住宅環境で生活している
Bさんは、つまづかないためのからだの機能をいつの間にか低下させていたのです。
この生活を長く続ければ続けるほど、知らず知らずのうちに、
転びやすいからだを作り上げてきているのです。


これは中高年や高齢者に限った話ではありません。
現代の住宅事情を考えると、子どものいる家庭の玄関や家の中の段差も、
昔に比べて低くなっています。

大人が子どもの頃はAさんのような家で育った方も多いでしょう。
しかし、今の子ども達は生まれた時から段差のない家で育っています。


からだの感覚が分かっていないのではないか。
いつもダラッとした格好で座っている。
よくつまづくし、転ぶことが多い。
姿勢が悪い。


転ばぬ先の杖は安全ではなく、
逆に危険を増やしていると考えることもできるのではないでしょうか。



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