コラム

2015-05-02

就業規則と給与計算

就業規則と給与計算

4月、5月ははじめて給料を手にし、給料の計算方法など興味を示す社員も多いと思います。
特に初任給では労働契約書と支給額が違うとか、就業規則の計算方法に誤りがあると社員の不信となり、モチベーションに悪影響を及ぼします。

賃金関係は就業規則に必ず記載しなければならない最も大切な事項です。
労働基準法では「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」を必ず記載しなければなりません」とあります。
労働契約書の内容や就業規則の給与の計算方法を再度見直すことが大切です。

給与計算は就業規則の賃金規定を基にして規定通りの計算します。
例えば次のような賃金構成の場合の計算方法について考えてみましょう。
①基本給(月給、日給月給、日給、時間給)
②手 当 (家族手当、通勤手当、役付手当、技能・資格手当、精勤手当など)
③割増賃金(時間外労働割増賃金、休日労働割増賃金、深夜労働割増賃金)

●欠勤控除の計算方法
入社6か月は年次有給休暇がないので、欠勤した社員は月給から欠勤控除をすることになります。

下記に欠勤控除の規定例を示しました。
(欠勤等の控除方法)
第○条 欠勤等は次により賃金を控除する。
2  欠勤は、1日につき次項により算出した日割額分を控除する。ただし、当該,月の出勤日数が10日未満のときは、出勤日数に日割り額を乗じた額を支給するものとする。
3  日割額の計算は、次による。ただし、管理監督の職にある者(部長及び課長)の役付手当は計算に含まない。
日割額= (基本給+役付手当+家族手当+技能・資格手当)÷ 1か月の平均所定労働日数
4  遅刻、早退、私用外出等で所定労働時間の一部を休務したときは、時間割額(前項の日割額の8分の1)を基礎としてその時間分を控除する。

ただし書では「出勤日数が10日未満のときは、出勤日数に日割り額を乗じた額」としてありますが、これは次の理由によります。
欠勤控除をする場合、所定労働日数は毎月一定ではないのに一定の日数で減額していくわけですから、1日ずつ減額して行くと、最後はおかしなことになります。
例えば、ある月の実際の労働日数が19日であったとします。そうすると、月平均所定労働日数は22日ですから、22日一19日=3日となり、19日、全欠勤したにもかかわらず3日分支給しなければならなくなります。逆に22日よりも多い月は、その日数分だけ返してもらわなければならないことになってしまいます。
そこで、10日というラインを引き、この矛盾を避ける工夫をしているものです。
・第3項中、日割り額の計算式中の分母の「1か月の平均所定労働日数」は、年間の所定労働日数を12で除した日数です。
・賃金の支給形態が本例と異なる場合は、それぞれの形態に見合った条文とします。

・完全月給制で欠勤控除がない場合は傷病手当金が支給されませんので注意が要ります。
・最低賃金の計算も必要です。

●諸手当手当の支給基準の確認
家族手当:支給の範囲や支払基準
通勤手当:通勤距離や非課税限度額、課税通勤手当の確認、
精勤手当:早退、遅刻の場合の要件、賃金支払期間の途中入社の場合(4月1日入社で賃金締日20日)
役付手当:対象範囲、昇格と降格の支払時期 
技能・資格手当:技能や資格の名称が就業規則記載されていること

●割増賃金の計算
③割増賃金(時間外労働割増賃金、休日労働割増賃金、深夜労働割増賃金)
割増賃金の計算式は{(基本給+諸手当)÷1か月の平均所定労働時間数 } ×1.25(割増率)×時間外労働時間数が一般的です。(割増率:時間外労働=0.25 休日労働=0.35 深夜労働=0.25)

諸手当のうち割増賃金の基礎から除外される手当があります。
家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は割増賃金の基礎となる賃金には、算入しない。
(家族手当、通勤手当、住宅手当を支給基準が明確になっていることが必要)

1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金とは以下となっています。
1ヶ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当。
1ヶ月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当。
1ヶ月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給または能率手当

●割増賃金の不払い・未払いに対する罰則
割増賃金の支払いをしない使用者に対しては、6箇月以下の懲役刑か30万円以下の罰金刑が課される(労働基準法第119条)。また、不払い分の割増賃金について本来支払われるべき日の翌日から遅延している期間の利息に相当する遅延損害金を、労働者は使用者に対して請求することができる。

就業規則、賃金規定を根拠にした正確な給与計算が大切です。

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社会保険労務士 宮地義孝

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